中国茶礼讃

お茶と花とのコラボレーションが生み出した第7のお茶、それは香りの共演…という話

こんにちは
中国茶礼讃へようこそ。
管理人の篠塚です。

前の記事で書きました様に、中国茶には発酵の度合いに応じて分類した6種のお茶がありますが、それに当てはまらない女性にとても人気の高いお茶があります。今回の記事では、その、いわば第7のお茶についてをご紹介しましょう。

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茶葉と花とを組み合わせた第7のお茶

この7番目のお茶は、花茶あるいは工藝茶と呼ばれるものです。花茶には大きく分けて3タイプあり、

  1. ジャスミンなどの香りを緑茶や白茶などの茶葉に移したもの。
  2. 茶葉に花を混ぜたシンプルなもの。
  3. 花自体を乾燥させ茶葉がわりに使うもの。

の3つです。そのいずれもが、花の持っている香りを楽しみながらお茶を飲みます。

また、味や香り、そして抽出された液体の色を楽しむだけでなく、目にもダイレクトに美しさを働きかける工芸茶というものがあります。工芸茶は、乾燥させた茶葉を1枚ずつ糸でかがり、その中に花を入れて丸く成形したものです。

お湯を注ぐと丸い塊が開き、ゆっくりと中の花が咲くのです。そのお湯を注いでから花開くまでの一連の動きは思わず見入ってしまうほど美しいものです。水中花のように怪しく揺らめく艶やかな姿を楽しむために、耐熱ガラスを用いると良いでしょう。その独特の美しさから、女性やもてなしの席でとても人気があるお茶です。

香りによるリラクゼーション効果にも期待

花茶が始まったのは南宋の時代、中国北部が発祥の地と言われています。交通の便が悪く良質なお茶が手に入りにくかった時代、花を混ぜて失われた茶葉の香りを補うための飲み方として考案されました。

一方、工芸茶の歴史は浅く、1980年代後半から、目にも楽しいお茶として広まり、手作りのため繊細さが求められ、「芸術作品」としての面を持っている中国茶です。

花茶、工芸茶ともに味や見た目の美しさだけでなく、香りによるリラクゼーション効果も期待され、五感を心地よく刺激します。花茶には薬効成分もあり、健康増進効果を期待して飲む人も少なくありません。その癒し効果を体験してみてはいかがでしょうか。

 

では、以下に花茶、工芸茶の代表的なお茶を見てみましょう。

花茶

花茶を代表する茉莉花茶

安徽省や福建省の香りを吸いやすい烘青緑茶を原料とし、一般的に「三窨一提」と呼ばれる、茶葉と茉莉花を一緒にして花の香りを付ける工程を経て製茶されます。

春に摘まれた茶葉は、荒茶にした後、茉莉花が咲くまで倉庫で丁寧に保存されます。業莉花の蕾が膨らむと、蕾の状態で工場へ運ばれ、花が開き始めるのを待った後、花を包むように茶葉をかぶせ、5時間程度放置します。茶葉は自然に50°C弱まで温度が上がります。香りが付いてきたら、蒸れないよ うに風を通し、茶葉と花が混ぜられます。さらに5時間ほど放置し、一定の温度まで下がったら、再び堆積を作り5時間程度放置します。これで一窨が終了します。1回の香り付けに用いられる茶葉は、茶葉100kgに対して茉莉花は50 ~60kg程度使用されます。花の香りが茶葉に移ったら、ふるいを使って花を取り除き、そして火入れを行ないます。この作業を数度繰り返した後、再び花を加える作業が行なわれ(提花=ていか)、最終的に花はすべて手で取り除かれてようやく茉莉花茶ができ上がるのです。

この様に、茉莉花茶は非常に手のかかるお茶なのです。

工芸茶

この工藝茶は安徽省の汪芳生氏が開発した黄山緑牡丹によってスタートしたお茶で、製茶し乾燥する前の茶葉を1本ずつ糸などでくくり、釜を使って丁寧に人手により乾燥整形される、これまたとんでもなく手間のかかるお茶です。

その後、菊などのさまざまな花が仕込まれるようになり、現在では上記の様にさまざまな工藝茶が存在しています。

 

如何でしたか?

今回は、通常のお茶に花を加え、一手間も二手間も掛けて作り上げるお茶について「お茶と花とのコラボレーションが生み出した第7のお茶、それは香りの共演…という話」と題して記事を書きました。

テーブルに華を添え、さらには香りによるリラクゼーション効果も期待できる花茶。そんなお茶を、食後や一日の締めくくりに楽しまれるのも素敵な習慣だと思います。

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