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中国茶礼讃へようこそ。
管理人の篠塚です。
紅茶といえば、イギリスに根付いている紅茶文化が有名ですが、その源泉は中国にあります。17世紀初頭に東洋と接触を始めていたヨーロッパ人の嗜好のツボに紅茶がハマったことから広く普及したのです。今回の記事では、その紅茶の代表的銘茶をご紹介しましょう。
世界の紅茶の歴史は中国紅茶から始まる
茶葉の持つ酸化酵素の働きによって、十分に発酵させた完全発酵茶が紅茶です。文字通り、紅い水色、紅い茶殻が特徴です。
紅茶と言えば、インドやスリランカ産が有名で、種類豊富な中国茶の中では、中国紅茶の存在は影に隠れてしまいがちです。しかし、実は紅茶の起源は中国なのです。17世紀初頭ごろにヨーロッパに伝わると、多くの人たちに愛飲されるようになりました。今では、世界で生産されているお茶の7割が紅茶だといいます。
中国紅茶は、インドやスリランカ産に比べて、タンニンが少なく、渋みをあまり感じません。また、英国の紅茶のように、ミルクや砂糖を加えたり、茶葉をブレンドさせたりせず、そのままストレートで飲むのが基本です。
製造工程
不発酵茶の緑茶に対し、紅茶は完全発酵茶です。したがって、製法は全く正反対です。茶葉をしおらせたら(萎凋)、よく揉んで(揉捻)、味と香りとを増すために、発酵を促します。その後、茶葉が紅色に変わるまで、じっくりと発酵させます。最後に乾燥させて出来上がりです。
歴史
紅茶が製造されるようになったのは、明の時代の末ごろからです。東洋と接触を始めていたヨーロッパ人にその味が好まれ、輸出を開始しました。18世紀に入ると、イギリス貴族社会で人気が高まり、紅茶は世界のお茶文化を形成するようになりました。
代表的な紅茶、その特徴と味わい
紅茶の中で更に3つの中分類に分けられる
中国紅茶は、茶葉の形状と製法、品質上の違いにより3種類に大別できます。小葉種の茶葉を用いた小種紅茶、手摘みで丁寧に作られた工夫紅茶、茶葉を裁断した紅砕茶(ブロークンティー)です。紅砕茶は輸出用として製造されています。
- 小種紅茶:正山小種、烟茶
- 工夫紅茶:祁門紅茶、滇紅、川紅、宜紅、寧紅、湘紅、閩紅、蘇紅、黔紅、台紅
- 紅砕葉:葉茶(ペコー)、砕茶(ブロークンペコー)、片茶(ファニングス)、末茶(ダスト)
代表的な紅茶
正山小種
正山小種は、17世紀には世界市場を独占し、中国で最も古いとされる紅茶です。中葉種の茶葉に松の木の燻し香を染み込ませる珍しい作り方で、龍眼というフルーツの甘い香りと、松の燻し香が合わさった個性的な香りが特徴です。この香りと味わいとはヨーロッパでも珍重されています。
軽くよじれた黒褐色の茶葉から抽出されたお茶を口に含むと芳醇な甘みと爽やかな余韻とが広がり、二煎、三煎と飲むごとに甘みが増します。アイスティーやミルクティーにも相性抜群です。渋みや苦味は少なく、甘い香りと芳醇な甘みが溶け合った味わいを持っています。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:1〜2分程度
九曲紅梅
九曲紅梅は、福建省にある武夷山九曲の紅茶で、太平天国の乱の際、福建省の人々が大塢山付近に定住して紅茶を作り始めたものです。九曲红梅の名にある九曲は、武夷山にある九曲溪から名づけられたものとされています。黒い艶のある茶葉がそれぞれに細長く曲がって絡む様が、「九曲」の名の由来という説もあります。
同じ杭州を代表する緑茶の「龍井」の茶葉で作る「紅龍井」とも呼ばれる工夫紅茶です。梅の花に似た香ばしい香りと、ほのかに甘い後味が楽しめます。アミノ酸が多く含まれ、複雑な舌触り、繊細でなめらかなのどごしも魅力です。
苦味や渋みが少なく、淡い香りとほのかに甘い後味が特徴です。紅茶としては非常に繊細な味わいで、誕生から100年以上経った現在もなお愛されています。杭州産の獅峰龍井と共に「一紅一緑」と言われています。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:1〜2分程度
祁門紅茶
祁門紅茶は、インドのダージリン、スリランカのウバと並び称せられる世界3大紅茶の1つです。中国紅茶の中で最も世界的に知られる紅茶で、英国王室では毎年娘の誕生日にこの紅茶で長寿を祝う習慣があります。
「祁門香」と呼ばれる蘭の花に似た清らかな変わる香りが持続し、その芳香は東洋随一と謳われるほどです。細く締まり、艶のある黒色の茶葉から抽出されるお茶は、タンニンが少ないため、苦味がほとんどなく芳醇な味わいです。そのため、1杯目はミルクや砂糖を入れず、ストレートで味わうのがお勧めです。また冷めてもまろやかなあの甘みが楽しめます。
祁門県内の気候は降水量が多く朝晩の寒暖差が大きいという特徴があります。その上、霧が多く発生する地域でもあり、そうした気候が、世界屈指の祁門紅茶を生産するのに適していると考えられています。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:1〜2分程度
雲南工夫紅茶
雲南工夫紅茶は、普洱茶の産地としてよく知られる雲南省で作られる紅茶で、別名「滇紅」とも呼ばれます。「雲南大葉種」から作られ、大きく美しい茶葉が特徴です。細長くねじれた形状の茶色い茶葉のあちこちに「ゴールデンチップ」と呼ばれる金色の産毛が含まれ、上質な紅茶にお湯を注いだ際に水面の縁にぐるりと浮かぶ「ゴールデンリング」が特に美しく現れることでも有名です。なめらかな舌触りと濃厚なコクとがあり、ミルクティーにもよく合います。甘い蜂蜜のような香りと余韻が長く続く魅力的な紅茶と言えましょう。
この雲南工夫紅茶は、20世紀前半に生産が始まったお茶ですが、1996年に開催された中茶杯では1等賞を受賞した銘茶です。そうした背景には、時間をかけて丁寧に手作業で生者されると言う工程にも秘密がありそうです。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:1〜2分程度
金駿眉紅茶
金駿眉紅茶は、「正山小種」の中でも最高級品で、ここ数年注目度ナンバーワンの高い人気を誇っている紅茶です。「正山小種」と違い、新芽のみを使用しているのが特徴です。武夷山自然保護区域内で育てられ、500グラムの茶葉を作るのに数万個もの手摘みの新芽を使うため、価格が高いことで知られています。
艶のある黒い良質な茶葉から抽出される、ゴールデンリングが見られる美しい水色や、龍のようなすっきりとした甘い香り、何煎出しても甘みを感じる芳醇な味わいと余韻とで、中国茶フリークの人にとっても満足度が高い逸品です。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:2〜3分程度
台湾紅玉紅茶
台湾紅玉紅茶は、近年、台湾で新たに研究開発された品種の1つで、本国でもとても人気が高い紅茶です。生産量が少なく、希少価値の高い珍しい紅茶としても知られています。紅玉とはルビーのことで、水色がルビーを思わせるような鮮やかな赤色であることから命名されました。
茶葉は黒々として艶があり、紅茶としては珍しく大きな茶葉がそのまましっかりと捻られています。お湯を注いだ瞬間に弾けるように広がるスパイシーなシナモン香と、爽快で伸びのあるフルーティーな香りとが印象的です。何煎も楽しむことができる個性際立つ紅茶です。
雑味がないクリアな味わいで、上品な果物のような香りをもち、芳醇な甘みが感じられます。余韻も甘いお茶は、香りによるリラクゼーション効果も期待できます。疲れを癒したいときにはオススメのお茶です。
湯温度:95〜100℃
抽出時間:2〜3分程度
有機蜜香紅茶
有機蜜香紅茶は、有機栽培の茶畑で生産された貴重な台湾紅茶です。一切農薬を使わず、夏の時期には「ウンカ」と言う虫にあえて葉を噛ませ、それによって風味を出すと言う独特な製法を用いています。
紅茶としては珍しく、揉み、よじって仕上げられた茶葉は金色の新芽も見え、艶があって美しいです。フレッシュで芳醇な厚みのある味わいと、伸びのある心地よい甘い香りとは有機茶ならではです。クセがなく、蜂蜜を思わせるほの甘い風味で飲みやすいので、台湾紅茶の初心者にもお勧めです。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:2〜3分程度
荔枝紅茶
荔枝紅茶は、かつて楊貴妃が愛したフルーツとして有名な「荔枝(ライチ)」の主産地である広東省で生まれた紅茶です。同じく広東省の特産である英徳紅茶をベースに、大きな葉と太い茎の大葉種の茶葉にライチの天然果汁をたっぷりと含ませています。
1950年代に作られ始めたと言われ、ライチの豊かな香り、甘みとともに濃厚な味わいが楽しめます。砂糖を入れる必要がなく、ダイエット茶としても最適です。また、ライチにはビタミンやアミノ酸が豊富に含まれ、美容効果も期待できるので女性に人気のある紅茶です。
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湯温度:95〜100℃
抽出時間:2〜3分程度
如何でしたか?
今回の記事では紅茶について「”紅茶文化の祖”もまた中国にあり。中国紅茶はストレートに限る!…という話。」と題して記事を書きました。中国紅茶は、茶葉の香りがフルーティーあり、スモーキーありで、個性豊かなものが多いのが特徴の一つです。そうした意味でもストレートで味わいたいですねぇ。
紅茶には体を温める効果があります。それだけでなく、消化促進、疲労回復、リラックスなどの効用も見込まれ、夕食後にゆっくりと頂くのも良さそうです。
次の記事では黒茶について書く予定です。
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